籐(ラタン)

素材について

籐(ラタン)

軽くて高級感のある籐素材は、近年、原産国からの輸出制限等の影響で貴重な材料となりつつあります。
弊社が張り替えで使用している籐は、東南アジアで採取し日本国内で職人が挽いた皮籐です。
籐もまた自然素材のため、木部と同様に長い時を経て艶のある美し飴色に変色しますが、現代の密閉された家屋では乾燥が原因で切れてしまう事もあり修理が必要となります。

籐(ラタン)

左の写真は2.5㎜の皮籐を手作業でカゴメ編みしたファーボチェアの背中です。籐には“機械編み”と呼ばれる機械で編まれてシート状になったものを座面の淵に彫られた溝にはめ込む方法(チェスカチェア等)と、一本一本フレームに開けられた穴を通じて手編みする方法があります。写真のファーボチェアの背中のような曲線で立体的なフォルムのものは手編みでないと再現が難しいため、一本ずつ編み込みます。

籐(ラタン)

籐は乾燥すると突然切れてしまうなど扱いが難しい材料ではありますが、美しく編み込まれた姿とホーロー質で覆われた艶ははどんな材料にも代えがたい魅力があり本当に美しい天然材であります。
また、時を経るごとに美しく飴色に変化していくのも籐ならではの魅力的だと思います。

お手入れ方法

籐(ラタン)

基本的なお手入れはやわらかい布での乾拭きです。埃などはブラシや掃除機でこまめに取り除いてください。
直射日光が長時間当たる場所やストーブ等で高温になる場所での使用は乾燥で籐が切れますので避けてください。湿度の高い場所では換気をしっかりして、使用後は陰干しや乾いたタオルなどで湿気を取り除いてカビを予防してください。
長く座ってないものや、乾燥している時期の使用は、初めに固く絞った布で軽くふいて、水分を与えてから始めると乾燥による切れの割合が軽減します。その場合、水分を入れすぎたり、乾かないまま使いますと変形やカビの原因となりますので注意してください。

ラタンの修理事例